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2026.06.21

幸せの記憶は、小さなお菓子から。

幸せの記憶は、小さなお菓子から。

プチパック誕生秘話を綴ってみた

プチパックは、「小さなお菓子を作ろう」と思って生まれた商品ではありません。

僕たちがこの商品に込めたかったのは、もっと別の想いです。

それは、洋菓子のプルミエールが34年間大切にしてきたことを、これから先の30年へ繋いでいくこと。

そして、お客様が誰かと過ごす時間や、自分を大切にする15分に、そっと寄り添える存在になることでした。

今回は、このプチパックシリーズが生まれるまでのお話を、少しだけ綴ってみようと思います。

始まりは、小さな街のケーキ屋さんでした。



洋菓子のプルミエールが創業したのは1991年。

実は、その年に僕も生まれました。

僕たちのお店がある東京都立川市は、駅前には新しい街並みが広がる一方で、少し歩けば畑や林が残る、どこか穏やかな空気が流れる街です。

そんな街で、プルミエールはたくさんのお客様に育てていただきました。

僕自身、生まれて間もない頃から、お店の厨房の奥にあった小さな物置部屋のベビーベッドで過ごしていました。

家族はいつもバターの香りをまとっていて、それが僕にとっては「家の匂い」でした。

小学生になる頃、友達からは「ケーキ屋」と呼ばれ(笑)、お客様からは「だいちゃん」と声をかけてもらえるようになりました。

そして創業から34年が経った今でも、「だいちゃん元気? あんなに小さかったのにね。」

そう笑いながらお店に来てくださるお客様がたくさんいます。

小さな頃からそんな光景を見続けてきた僕は、あることに気づきました。

ケーキ屋さんが作っているのは、お菓子だけではないということです。

お客様の笑顔。 家族との会話。 誰かを想って選ぶ時間。

そして、その瞬間に生まれる「幸せな記憶」。

だから25年前に販売していたケーキを覚えていてくださるお客様がいるのだと思います。

「あのお菓子、もうないの?」 そんな言葉をいただくたびに感じます。

お客様が思い出しているのは、お菓子そのものではありません。

そのお菓子を囲んで笑った人や、その日に感じた嬉しさ、幸せだった時間。

つまり、お菓子と一緒に生まれた記憶なのだと思うのです。

そのことを、僕がはっきりと確信した出来事がありました。

あの日、僕は「幸せの記憶」が生まれる瞬間を見た。

僕は、大のファンタジー好きです。

初めてのアルバイトは東京ディズニーシー。

留学先も、ハリー・ポッターが好きすぎて、J.K.ローリングさんの母校であるイギリスの大学を選んだくらいです。

今思えば、少し変わっていたかもしれません(笑)。

でも、そのディズニーでのアルバイト中に、僕の人生を変える出来事がありました。



2010年12月23日。

クリスマス前の東京ディズニーシー。

夕方6時を過ぎ、空は少しずつ暗くなり始めていました。 

オレンジ色の街灯が灯り、パーク中がどこか優しい空気に包まれていたことを、今でもはっきり覚えています。

当時19歳だった僕は、レストランの最後尾で、お客様をご案内する仕事をしていました。

店の外まで続く長い列。

「こちらへどうぞ。」「最後尾はこちらです。」同じ言葉を何度も繰り返しながら、お客様をご案内していました。

そんなときです。

列の途中に並んでいた、40代くらいのお母さんと、7歳くらいの男の子が目に入りました。

男の子は、お母さんの手をぎゅっと握りながら、顔を見上げてこう言ったのです。

「ママ、今日最高に幸せな一日だったね。ありがとう。」

その瞬間、僕は言葉を失いました。

気づけば、その場で泣いていました。

仕事中なのに。
周りにはたくさんのお客様がいるのに。

どうして涙が出たのか、自分でも分かりませんでした。

でも、一つだけ分かったことがありました。

男の子は、その日一日の出来事を覚えているわけではなかったのだと思います。

アトラクションに乗った順番も。

食べたものも。

歩いた道も。

きっと何年も経てば忘れてしまうでしょう。

でも、その日に感じた「幸せだった」という気持ちだけは、一生残るのかもしれない。

そして、その一言を聞いたお母さんにも、きっと一生忘れられない記憶が生まれた。

その瞬間、親子の間で「幸せ」が共有されたのです。

僕は、その光景を目の前で見ました。

あの日から、僕は考えるようになりました。

人の心に残るものは、物ではない。

感情なのだと。

だから、人は何年経っても、「あのケーキ、おいしかった。」ではなく、「あのケーキを食べた日のこと。」を思い出す。

僕は、お菓子にはそんな力があると信じています。

お腹を満たすだけではなく、誰かと笑い合った時間や、自分を少しだけ大切にできた15分を、幸せな記憶として残してくれる。

もしそんなお菓子を届けられたなら、それは僕たちにとって何より嬉しいことです。

お菓子を作っているのではなく、幸せの記憶を届けたい。

ディズニーでのあの日以来、僕の中にはひとつの問いが残り続けています。

「人の心に残るものって、なんだろう。」

その答えを探し続けながら、今、僕はプルミエールでお菓子を作っています。

もちろん、お菓子は美味しくなければ意味がありません。

だから厨房では、今日もパティシエたちが素材と向き合っています。

発酵バターひとつとっても、その年の気候や収穫時期によって香りや風味は少しずつ変わります。



チョコレートも同じです。

保存状態や温度によって、ほんのわずかな違いが仕上がりに現れます。

その違いを見極めながら、「もう少し余韻を長くできないか。」「もっと食感を良くできないか。」

そんなことを毎日のように話し合っています。

きっと、外から見れば少し変わった人たちです(笑)。

でも、それくらいお菓子が好きだからこそ、何度でも試作を繰り返します。

ただ、僕たちが本当に作りたいものは、お菓子そのものではありません。

お客様が誰かと笑い合う時間。

ほっと一息つく15分。

「美味しいね。」

そんな何気ない一言が生まれる食卓。

僕たちが届けたいのは、その時間です。

そして、その時間がいつか、その人にとっての幸せな記憶になってくれたら。

それ以上に嬉しいことはありません。

だからプルミエールは、「お客様の15分を非日常に変えることで、幸せの記憶が生まれるきっかけを創る。」

そんなブランドでありたいと思っています。

一度だけ、僕たちは大切なものを見失いかけた。

ありがたいことに、コロナ禍をきっかけに、プルミエールのお菓子を知ってくださる方が全国へ広がりました。

主力商品のスイーツ缶は多くのお客様に選んでいただき、楽天グルメ大賞やJR東日本おみやげグランプリなど、思いもよらない賞までいただくことができました。

立川の小さな洋菓子店だった僕たちの名前を、遠く離れた場所で知ってくださる方が増えたことは、本当に嬉しい出来事でした。

でも、その頃の僕たちは、毎日必死でした。

注文が入る。

作る。

梱包する。

発送する。

また注文が入る。

嬉しい悲鳴ではありましたが、気がつけば毎日がその繰り返しになっていました。



そんなある日。

本店へ来てくださった常連のお客様が、笑いながらこう話してくださいました。

「私ね、プルミエールのクッキー缶、全部持ってるのよ。」

僕は思わず嬉しくなりました。

すると、そのあとに続いた一言が、今でも忘れられません。

「でも、自分用なら一つあれば十分なのよね(笑)」

その瞬間、胸の奥が少しだけ苦しくなりました。

もちろん、そのお客様は商品を否定したわけではありません。

むしろ、ずっと応援してくださっているからこその言葉でした。

だからこそ、その一言には大切なメッセージが隠れていました。

「もっと気軽に、プルミエールのお菓子を楽しみたい。」

きっと、そういうことだったのだと思います。

その頃の僕たちは、「全国のお客様に届けること」に全力を注いでいました。



でも、その一方で、創業以来ずっとお店へ足を運び続けてくださったお客様との時間が、少しずつ減ってしまっていました。

気づけば、本店の営業日は週に二日。

生菓子の販売もなくなっていました。

僕が小さい頃から見てきた、ショーケースの前で家族が笑いながらケーキを選ぶ風景。

「あれにしようか。」「今日はこれにしよう。」

そんな何気ない時間が、少しずつ少なくなっていたのです。

売上は伸びていました。

ブランドの知名度も上がっていました。

それなのに、どこか満たされない気持ちがありました。

なぜだろう。

そう考えたとき、ようやく気づきました。

僕たちは、お菓子をたくさん届けることに夢中になるあまり、お菓子が生み出す時間を、十分に届けられていなかったのです。

プルミエールが34年間、本当に届けてきたものは、お菓子ではありません。

家族で囲む食卓。

誰かを想って選ぶ贈り物。

仕事の合間にほっとひと息つく15分。

そんな時間の中で生まれる、幸せな記憶でした。

その原点に、もう一度立ち返ろう。そう決めたのです。

もう一度、お客様のそばへ。

僕たちは、もう一度原点に戻ることを決めました。

「お客様の15分を、もう一度大切にしよう。」 

その想いから生まれたのが、はじめ菓子珈琲です。

プルミエールの本店から700メートル。

新しく始めた小さなお店では、その日の朝に焼き上げた焼き菓子や生菓子を、淹れたてのコーヒーや紅茶と一緒に楽しんでいただけます。

特別なことをしたかったわけではありません。

僕が子どもの頃から見てきた、ショーケースの前でケーキを選ぶ家族。

「これ、おいしいね。」

そんな何気ない会話。

お菓子を囲んで流れる、穏やかな時間。

その風景を、もう一度この街につくりたかったのです。

だから店名も、「はじめ菓子珈琲」と名付けました。

プルミエール(Première)は、フランス語で「はじめ」という意味があります。

34年前に始まった想いを、もう一度ここから始めよう。

そんな決意を、この名前に込めています。

そして、同じ頃。
もう一つ、新しい挑戦が始まっていました。



それが、プチパックシリーズです。

最初に考えたのは、「どんなデザインにしよう。」でも、「どんな味にしよう。」でもありませんでした。

僕たちが最初に考えたのは、「この商品は、誰のどんな時間に寄り添えるだろう。」ということでした。

気軽に、自分のために買えること。

友人や家族に、「これ、美味しかったから」と自然に渡せること。

昔からプルミエールを知ってくださっている方にも、新しく出会ってくださる方にも、同じように手に取っていただけること。

そして、商品の第一印象ではなく、中に入っているお菓子そのもので喜んでいただけること。

そんな商品を目指しました。

デザインも、その考え方から生まれています。

今回のパッケージは、今までのプルミエールをご存じの方なら、「少し変わったね」と感じられるかもしれません。

それは、過去を変えたかったからではありません。

34年間、大切に育ててきたものを受け継ぎながら、これから先の30年も愛されるブランドであり続けるために。

新しい一歩を踏み出したかったのです。

だから、このパッケージは新しいデザインではなく、過去から未来へ手渡すバトンだと考えています。

幸せの記憶は、これからも。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

少し長いお話になってしまいました。

でも、このプチパックシリーズについてお話しするなら、どうしても最初にお伝えしたいことがありました。

僕たちが作りたいのは、お菓子ではありません。

お菓子を囲んで生まれる時間です。

誰かと笑い合う時間。

大切な人を想う時間。

忙しい毎日の中で、自分を少しだけ大切にできる15分。

そんな時間の中で生まれた感情は、きっとその人の人生に残る「幸せな記憶」になる。

僕たちは、そう信じています。

だから、お菓子作りはゴールではありません。

誰かの記憶のきっかけになれたとき、初めて僕たちのお菓子は役目を果たせるのだと思っています。

創業から34年。
この街でたくさんのお客様に育てていただきました。

「あのケーキ、美味しかったね。」「また食べたいね。」

そんな何気ない会話の積み重ねが、今のプルミエールをつくってくれました。

そして、これから先の30年も。

僕たちは変わらず、お客様のそばで、お菓子を焼き続けたいと思っています。

時代が変わっても。

販売方法が変わっても。

お店の形が変わっても。

「幸せの記憶が生まれるきっかけをつくる。」

その想いだけは、変わりません。

プチパックは、その新しい一歩として生まれた商品です。

 
でも、これは完成形ではありません。

これからも、お客様との時間の中で育ち、少しずつプルミエールらしい商品になっていくのだと思います。

もしこの小さなお菓子が、 誰かとの会話のきっかけになったり、 忙しい毎日にほっと一息つく時間を届けたり、「今日はいい一日だったね。」

そんな幸せな記憶を生むきっかけになれたなら。

僕たちにとって、それ以上に嬉しいことはありません。

これからも洋菓子のプルミエールを、どうぞよろしくお願いいたします。

洋菓子のプルミエール
代表 遠山 大樹

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